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ウチの子、このままで大丈夫??―たぶん大丈夫!

 2/19オンライン講演会「ウチの子、このままで大丈夫??~乳幼児期に本当に大切にしたいこととは~」を開催しました。多くの方にとって興味あるテーマだけにたくさんの方にご参加いただきました。

 講師はたねの会の理事であるお二人、臨床心理士の藤井良隆さん(ふじぱぱ)とプレイワーカーの関戸博樹さん(どっくん)です。お互いにインタビューし合う形で1時間半、皆さんからの質問にも答えながらのお話でした。

 

 第1部藤井さんのお話のパートでは、親を困らす子どものイヤイヤにも成長のためのとても大事な意味があることを脳神経の発達の視点からお話していただきました。

 怒ったり、泣いたりするいわゆるネガティブな感情。親にとっては厄介なものですが、これを常に否定されてしまうと「感情は出してはいけないんだ…」という生きづらさにつながってしまう。でも子どもの「こわい!」「いたい!」「やだ!」にも親が「こわかったね~」「いたかったね~」「やだったね~」とその感情にチューニングを合わせてあやす時のように接し、落ち着かせてあげると親に気持ちをわかってもらえた子どもは安心できる。そんな繰り返しの中で子どもは徐々に自分自身で感情のコントロール、行動のコントロールができるようになっていくのだということを、専門家として科学的な視点から教えていただきました。

 「思いやりを持つ=相手の気持ちを分かってあげる」ためにはまず「自分の気持ちをちゃんとわかって大事にできる」ことが大切だという指摘、なるほどと思いました。

 私たちはネガティブな感情は抱いてはいけないもの、とつい思ってしまいがちですが

「感情は感じた以上、そう感じていい」

それは私たち大人も同じである、ということは胸に迫るメッセージでした。

 自分の感情は大切にしながら、しかし子どもと向き合う時には心に余裕を持って接することが大切であること、を学びました。

 

 第2部関戸さんのお話のパートでは、子どもたちの「やりたい!」から始まるすべてのことが遊びであり、それは子どもが成長したがっていること、脳を育てていること。やってみたいことを止められ続けてしまうと発達欲求も弱まっていってしまうというお話がありました。そういう子どもたちに遊び場で出会うことも度々あるけれど「やってみたい!」を大切にされる環境の中で遊ぶことで徐々に遊び直し、感情の育て直しもできるというお話は救いだなぁと感じました。

人それぞれ「やってみたい」の方向性は違っているけれど、評価されることなく「自分は自分でいいんだ」と思える(=自己肯定感をもてる)のも遊びのいいところであり、同時に「あの子はあの子でいいんだ」という他者への共感も育っていくのだそう。子どもは遊びながら心を育てているんですね。

「発達にいい遊びとは?」という質問に対しては「発達にいいのはその子がやりたい遊び」とズバッと答える一方で、視野の狭い子どもに対して大人がいろいろな遊びの選択肢を示してあげることはとてもいいことだと話されていました。ただし、あくまでも何を選ぶのかを決めるのは子どもである、という点を大切に!

 

 この他にも、ここでは書ききれない興味深いお話がたくさんありました。質問にも丁寧に答えてもらえて充実した1時間半になりました。何よりたくさんの経験の中で育まれたお二人のお話は説得力があるとともにあたたかいものでした。

 

  視聴した方からの感想です。

●自分のすべての感情を認めて良い話を聞いて、涙がなぜかあふれ自分で驚きました。悪として取り扱ってきた感情も、認めてほしかったんだなと。まるで、手のかかる子どもを「そうかそうか」と寄り添ったかのような気持ちを味わいました。そんな体験をすると優しい気持ちに満たされるのですね。少し、見える景色が変わるかのようです。

自分の感情を大事にする、認めることが、子どもの気持ちに寄り添える大人になるのだと実感しました。講演後、子どもたちへ優しい気持ちでいっぱいになっています。

 

●発達に良い遊びとはその子がやりたいと思っていること。やりたいと思っていることをよく見て、感じて支援していきたいと思いました。

 

●人間は生存のために、あえて未熟で生まれて、何十年にもわたり複雑な遊びをすることで、後天的に脳が育ち、その時代や環境に適応していく。なるほど!今日一番の収穫でした。早期教育にばかり走っている今の子ども達の環境にいつも違和感を感じていて、人生80年くらいあるのに20代くらいまでには息切れしている子達を見聞きして切ないなと感じていました。

 

  親はとかくわが子に「思いやり」を持ってほしいと願いますが、目指すのは思いやりのある『子ども』になることではなくて思いやりのある『大人』になることなんじゃないか、という藤井さんの問いかけには、本当にその通りだと思いました。子どもたちはまだまだ発展途上なんですよね。私たち大人はその育ちに寄り添い伴走する存在でありたいと思いました。

 そして、親だけでなく世の中全体が子どもたちを発展途上の存在として見られるようになれば、親も「早くわが子をキチンとさせなくては!」と子どもが小さいうちから焦ることなく、もうちょっと余裕を持てるのではないかな、と思います。みんなで子どもの育ちを見守れるような世の中にしていきたいですね。

 「ウチの子、このままで大丈夫??」←「たぶん大丈夫!!」byふじぱぱ(^_^)

  (やすだ)